脂溶性ビタミン


前回の続きでビタミンについての作用と我々日本人の平均摂取量をみていきたいと思います。今回主に参考にさせて頂くのは、厚労省の日本人の食事摂取基準(2020)です。しっかり論文を調べてまとめてくれてますので、お時間がある人は一度全文を目を通してみてください。


 

まずは脂溶性ビタミンからみていきたいと思います。

脂溶性ビタミンは、ビタミンA/D/E/Kですのでこの順番で説明していきます。


ビタミンA

ビタミン A は,小腸から吸収され,肝臓で貯蔵されます。


ビタミンAの主な生理作用としては,

・視覚作用・・・網膜細胞の保護作用や視細胞における光刺激反応に重要な物質(ビタミンA欠乏で夜盲症となります。また同様に不足で皮膚乾燥、肥厚、角質化が起こる)

・細胞の分化や発生、生物の正常な成長促進作用

・免疫機構の維持(エビデンスは・・・?)


日本人の平均摂取量

男性:平均534μgRE/日、女性:平均505μgRE/日

(2018年の国民健康・栄養調査)


厚労省の推奨摂取量(18歳-)

男性:850-900μgRE/日 女性:650-700μgRE/日


我々のビタミンA摂取量は、推奨量を下回ってます。では、サプリメントで摂取した方がいいのか?



 脂溶性ビタミンは、前回説明した通り過剰に摂取すると、有害事象を起こします。具体的には血中のレチノイン酸濃度が一過性に上昇し、頭蓋内圧亢進、皮膚の落屑、脱毛、筋肉痛や肝臓へのビタミン A の過剰蓄積による肝臓障害をきたすことがあります。そのため、日本では上限摂取量は2700μgRE/日までとなってます。過剰摂取には注意して摂取を心掛けてください。また別のページで医学的根拠も添えて疾病予防としてビタミンAをサプリメントで摂取するべきか述べていこうと思います。

 ビタミンA系統は、肝臓(レバー)に多く含まれています。また、緑黄色野菜(ホウレンソウやニンジン)は、カロテノイドという色素を含んでおり抗酸化作用があります。カロテノイドは必要に応じてビタミンAに変換されるのでビタミンA過剰症になりにくいです。


 

ビタミンD

ビタミンDは、食事以外からも日光を浴びることで体内でも合成されるビタミンです。

赤ん坊に日光浴させる必要があるのは、母乳にはビタミンDが含まれていないためビタミンD欠乏症の防ぐためです。




ビタミンDの主な生理作用としては,

・小腸でのカルシウム(Ca)/リン(P)吸収,腎尿細管でのCa/P再吸収,骨でのCa沈着・溶出などの促進作用

・副甲状腺ホルモン分泌の抑制

・がん細胞などの増殖抑制と分化促進,T細胞やB細胞を介した免疫調節作用

・免疫機構の維持(エビデンスは・・・?)


日本人の平均摂取量

男性:平均6.9μg/日、女性:平均6.3μg/日

(2018年の国民健康・栄養調査)


厚労省の推奨目安量

男性:8.5μg/日 女性:8.5μg/日

(2020年)


アメリカ・カナダの推奨摂取量は15μg/日であるのですが、日本では10μg/日程度と少ないです。


これは、日光浴により得られるビタミンDを考慮しているからとのことです。皮膚に害がない程度で日光浴から合成できるビタミンDの量を想定しています。例えば、5.5μgのビタミンDを作るには、下記にように日光浴(晴天の条件)をすればよいというデータが出ています。(Miyauchi M, Hirai C, Nakajima H. The solar exposure time required for vitamin D3 synthesis in the human body estimated by numerical simulation and observation in Japan. J Nutr Sci Vitaminol 2013; 59: 257-63




夏の昼間であれば、10分程度日光浴をすると10μgを作ることになりますね。しかし、アメリカもカナダも日光を浴びてないことはないと思うのですが・・・。


脂溶性ビタミンDの食事摂取上限値は男女(18歳-)ともに100μg/日までとなっております。


ビタミンD欠乏症・・・くる病(小児)、骨軟化症(成人)、骨粗鬆症、低Ca血症

→名前の通り、骨が弱くなり骨折しやすくなります。

ビタミンD過剰症・・・高Ca血症、異所性石灰化

→嘔気や食欲不振を来し、尿管結石など石灰化をきたします。


ビタミンDは、最近のCOVID-19(コロナウイルス)の影響で注目されていますが、このウイルスに効くわけではありません!こちらも免疫や予防医学の観点からビタミンDが必要なのか後述したいとおもいます。


ビタミンDの多い食事は、かつお(ビタミンD 120μg/ 100g)、あんこう(110μg/ 100g)、きくらげ(85.4μg/ 100g)です。

 

ビタミンE

ビタミンEは、食事から小腸で吸収され体内に取り込まれます。


主な生理作用は、・抗酸化作用(活性酸素除去、過酸化脂質生成防止)・膜安定化作用です。


ビタミンEは、 α-トコフェロールとも言われ、生体膜やリポタンパク質中の脂質が酸化されるのを α-トコフェロールが防いでいます。また、α-トコフェロールはそのリポタンパク質の酸化を抑制して抗動脈硬化作用を示すとされています。


日本人の平均摂取量(ビタミンEではなく、α-トコフェロール量を算定)

男性:平均7.0 mg/日、女性:平均6.4 mg/日

(2018年の国民健康・栄養調査)


厚労省の推奨目安量(18歳-)

男性:6.0- 7.0 mg/日、 女性:5.0-6.0 mg/日

(2020年)


この結果からも通常の食事を摂取していれば、ビタミンE不足なることはほぼありません。しかし、脂質の吸収障害があるとビタミンE吸収も低下してしまうため注意が必要です。

食事としては、アーモンド(100 g):30.3 mg/ 落花生(100 g):10.1 mg/たらこ(100 g): 7.1mg/ 鶏卵(卵黄 100 g):3.4 mgのビタミンEが摂取できます。

ビタミンEは脂溶性ビタミンであり過剰によるデメリット(死亡率との相関がある報告や骨粗鬆症との関連の報告)もあるため、むやみにサプリメントを摂取するのは避けましょう。

こちらも次回に後述させて頂きます。



 

ビタミンK

ビタミンKは、胆汁酸や膵液と混合され、小腸で吸収されます。


生理作用は、

 ・血液凝固の促進

 ・オステオカルシンを活性化し、骨形成を調節

 ・Matrix Gla Proteinの活性化を介して動脈の石灰化を抑制


ビタミンK不足で起こる症状

鼻出血、消化管出血、月経過多、血尿、血液凝固の遅延などといった症状や慢性的なビタミンK不足は、骨粗鬆症や骨折を引き起こすことが言われています。


日本人の平均摂取量

男性:平均 252 μg/日、女性:平均 239 μg/日

(2018年の国民健康・栄養調査)


厚労省の推奨目安量(18歳-)

男性:150 μg/日、 女性:150 μg/日

(2020年)


日本国民は、ビタミンKの栄養は充足していると考えられており、通常の食事で問題ないと思われます。食事としては、挽きわり納豆(100g): 930μg/ 緑茶(100g): 1400μg/鶏卵(卵黄100g):40μgのビタミンKを摂取することが可能です。 しかし、疾患に対して血をサラサラにするワーファリン内服している人は、ビタミンK摂取を避けないといけないので注意が必要です。




 

以上が、脂溶性ビタミンの簡単な説明になります。作用機序などは知りたい方はおすすめの図書をご案内しますので、気軽にご相談ください。

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